陽華の吸血鬼➁【一人称修正ver.】【完】

自分はその力を忌避していたこともある。

自分の所為で、大すきな人を殺してしまうかもしれないと。

けれど結果論ではあるが、私が封じられた力を持っていたことで、黎との未来は繋がった。

黎が人間になったことで、一緒にいることが出来る。

更に鬼性もなくなったことから、将来的な話になるけど小埜家の監視下を離れることも可能になった。

「黎が……小埜家の監視下でも、今まで無害に生きて来られたのは、澪さんのおかげでもあるから」

澪さんは術師としての力がないから、黎が血を飲んでも害にならなかった。

黎は半分だけの吸血鬼。それでも血は必要だった。

澪さんだって、自分の指先を切ることは嫌だっただろう。

家のしがらみのためとはいえ、何故そんなことをしなければならないと思うはずだ。

それでも澪さんは、黎の血液提供者だった。

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