陽華の吸血鬼➁【一人称修正ver.】【完】

「ま。澪さんはいい人だと思うし話してて楽しいけど、あたしは真紅の味方だから、さすがになことを澪さんが言ったら、黎さんに言うからね?」

海雨は窓の外を見たまま、何気ない口調を装って言った。

「………」

私は、返事はしなかった。

澪さんから嫌がらせを受けていること、黎には言わないように海雨に頼んである。

二人の間に波風立たせたくなかったし、これは自分が受けて然るべき反応の一つだと思っているから。

にわかものの自分が影小路で生きていくためには、このくらいでへこたれてはいられない。

それに私は、一緒にいる相手に黎を望んでいる。黎じゃなくちゃ嫌だと。

でも黎は流派内の人間ではなく、元・鬼人で吸血鬼だ。

小路内部も納得させないと、結婚なんて出来ない。

……始祖の転生である私を次の当主に、と言う声は、既に聞こえ始めている。

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