陽華の吸血鬼➁【一人称修正ver.】【完】
親が違っても、血の繋がりがなくても。
黎には、大事な弟であることに変わりない。
私は胸の辺りを摑んだ。血に縛られた私の命。
……黎がこういう人だから、すきになっていたのかもしれない。
「……お前の名前をつけたのは、馨さんなんだ」
幹に触れていた架くんの手が、少し引かれた。
黎は静かな口調で続ける。
「俺(兄)が吸血鬼の性(さが)だから、もし何かあったときのために、弟に十字架の名前をつけよう、って。お前は俺の弟だから『架』なんだよ」