陽華の吸血鬼➁【一人称修正ver.】【完】
そういえば、と思い出す。
白ちゃんが、以前は架くんのことを『十字架の』と呼んでいたと言っていた。
架くんの名づけの由来は知らないが――とも言っていたけど、的を射ていたのかもしれない。
「あのさ……」
「なんだ?」
「こういうときって……普通泣くものなのかな。それとも怒るべき?」
「……お前の、したいようにすればいい」
「…………そっか」
架くんの爪先が動いて、その身を反転させた。
赤らんだ目で、唇は微笑みの形。
「兄貴。……俺の父さんのこと、教えて」