エリート外科医といいなり婚前同居
「その先生に、暁先生は女性に言い寄られるのが面倒で、女除けのために若い家政婦を家に住まわせてるって聞いてね。今夜のパーティーに連れてくる〝婚約者〟も、きっとその家政婦さんなんじゃないかって思ったのよ」
美乃梨さんの話を聞くうちに、全身から血の気が引いていくのが分かった。
〝女除け〟って……その言葉は、美乃梨さんの主治医の先生がそう言っただけだよね。
礼央さんの口から出たわけじゃないよね。どちらにしろ私が家政婦であることに変わりはないのに、胸が張り裂けそうに痛い。
「否定しないってことは、千波さんがその家政婦だって思っていいのよね?」
確認するように美乃梨さんに問われて、私は失意のままこくんと頷いた。
「ごめんなさいね、彼と口裏を合わせていたんでしょうけど……先生にはお世話になっているから、協力したくて。でも、千波さんも千波さんよ? いくら彼がハイスペックな男性だからって、言いなりになって人を騙すことに加担するなんて」
美乃梨さんのまっとうな正論に押しつぶされて、うつむいたまま顔を上げられなかった。
ホント……私って、いつも礼央さんのいいなり。甘い言葉や戯れに絆されて、彼の思うがままに動く便利な家政婦ロボットだ。