エリート外科医といいなり婚前同居
段々と心細くなってきたうえ、ゴンドラの隙間から吹き込んでくる冬の夜風が寒くて、私は思わず小さく震えだす。
そんな中、不意に礼央さんが立ち上がってこちら側に移動し隣に腰を下ろすと、座ったまま私の体をぎゅっと抱き寄せた。
「こうしてれば、温かい?」
「は、はい……」
正直、温かいどころではない。震えていたのが嘘みたいに、一瞬にして顔に熱が昇った。
ダメだ私……。夢から醒めなきゃって思うのに、礼央さんの言動にときめかされてばかりで、すぐに流されてしまう。
優しい温もりに身を委ねてぼんやりそんなことを思っていると、彼がそっと囁いた。
「千波は、ただの家政婦なんかじゃないよ」
え……礼央さん、それはどういう意味……?
私は抱きしめられたままで目を見開き、じっと言葉の続きを待つ。
「長年思い焦がれて、再会したら愛しさはもっと募った。可愛い妹のように思っていた千波が、あまりに魅力的な女性になっていたから」
……これは私が作り上げた、自分に都合のいい妄想じゃないだろうか。
信じられない思いでそっと体を離し、彼をまっすぐ見つめる。
獰猛な熱をはらんだ、それでいて微かな切なさの滲む瞳。その中にとらえられてしまうと、もう目が逸らせなくなった。