エリート外科医といいなり婚前同居

そんな俺の話を聞いた紺野先生はがははっと豪快に笑い、それからうんうんと頷いて言った。

「つまり、暁少年は人の笑顔が好きなんだな。きっと優しくていいお医者さんになれるよ。じゃ、あとは待合室で待っててな」

「はい、ありがとうございます」

紺野先生にお墨付きをもらえて上機嫌になりながら、診察室を出て行こうとした時だった。

「そうだ。そんな優しい暁少年に、ちょっと頼みがあるんだけど」

「頼み……?」

「きみも知ってるかもしれんが、俺は妻を亡くしていてね。こうして診察をしている間、いつも娘の千波がひとり遊びをして待っているんだ。大人しくてワガママも言わない子なんだが、その代わりに最近あまり笑ってくれなくてね。きみのような優しいお兄ちゃんがときどき遊び相手になってくれたらうれしいと思うんだが……」

自分よりだいぶ幼い、しかも異性の子とうまく遊べる自身はなかったが、憧れの紺野先生じきじきの頼みとあって、俺はふたつ返事で了解した。

いつも千波が遊んでいたのは病院内にある小さな部屋で、ときどき看護師が様子を覗きに来るものの基本的にはひとりで、部屋中にあるおもちゃだけが彼女の相手をしていた。

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