エリート外科医といいなり婚前同居
そんな両親を尊敬しているからこそ、私だって将来は医療に関わる仕事がしたかった。
けれど成長するにつれ、現実の厳しさに打ちのめされ、今では医療業界どころか、どこからも必要とされない落ちぶれた就活生だ。
立派な父と母の間に生まれたはずなのに、どうして私にはなにも取りえがないんだろう……。
思わずため息をつくと、向かいに座る父が片眉を上げながら私の顔を覗き込む。
「美味しいっていうわりに、しけたツラしてんじゃねえか」
「……就活、またダメだったの。さっきメールが来てて」
カレーをもそりと口に運びながら報告すると、父にこう聞かれた。
「また医療事務か?」
「そうだよ」
「あれはもう諦めたらどうだ。向こうも即戦力が欲しいから、お前のような若者を落とすのは、ある種仕方ないんだよ」
「やっぱりそうなんだよね……。でも、今さらほかの職種に鞍替えしたって、その分野勉強してないんだからぼろが出るし、第一もう求人自体がそんなにないし……。このままじゃ私、バイトで食いつながなきゃいけなくなっちゃうかも」