大嫌い、だから恋人になる
「後悔なんて無い。これだけは言える。確かに俺は優柔不断だから、迷わなかったって言えばウソだけど、今は何の後悔も無いよ。それに・・・」

「それに?」

「ちひろはちひろでけっこう可愛いと思う。良いな、もう二度と言わないから、ちひろもつまらないこと聞くなよ。俺だって恥ずかしいんだから」

「秋山君も恥ずかしいの?」

「当たり前だろ」

「そっか、もっと女の子に慣れてると思った」

「そんなこと無い。ちひろとそんなに変わらないよ。もうこんな話、止めよう。歌って」

「待って。私も少し言わせて。私ずっと秋山君が先に進んでると思ってた。だからやっぱり不安なの。でも良かった。さっきの話聞いてから、秋山君も普通の男の子なんだって思った」

「なんだそれ。俺を何だと思ってたんだ。でもがっかりしたろ?」

「ううん。その逆。なんか嬉しい。本当にとっても嬉しい。じゃあ、歌うね」

その後、歌ったのは殆ど私で、秋山君は一曲しか歌わなかった。

カラオケボックスから出ると、今度は近くのゲームセンターに行った。

「私、あんまりこういう所、来ないけど秋山君は?」

「時々、友達の付き合いで来るかな。まあ、一人で来たりはしない」

「一人で来る人も居るんだ?」

「ゲーム好きはけっこう来るみたいだぜ。俺もそんなに詳しいわけじゃないけど。まあ、少し遊んでみるか」




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