大嫌い、だから恋人になる
「ちーちゃん、しっかり」

なっちゃんが大きな声で言って、私の腕を取った。

「泣いてる場合じゃないよ。秋山君に連絡取らないと」

「無理。スマホが壊れてる」

「秋山君、出発はお昼の便だよね。今から空港に行ったら間に合うかも」

「なっちゃん、大胆なこと言うね」

凜ちゃんが言った。

「でもなっちゃんの言う通りかも。秋山君を止めないと」

「無理だよ、そんなの。それに私は秋山君に迷惑かけたくなくて、別れたんだよ。なのに今からなんて・・・それこそ迷惑だよ」

そうだ。私は我慢するって決めたんだ。秋山君にお別れを告げてから。なのに今さら。

「それで良いの?ちひろ」

「良いも悪いもそれしかないから」
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