大嫌い、だから恋人になる
「秋山君、ずっと向こうへ留学するみたいだよ。何日か前のホームルームでも言ってたよ、ちーちゃん」

「私、先生に用事頼まれて、一回だけホームルーム出なかったことがあるの」

「そっか。私、その時、ちひろが聞いてたと思ってたから」

「ずっとってどの位?今年いっぱいってこと?それとも二年生まで?」

「そうじゃないよ。高校三年間はずっと向こうみたい」

「本当に?なっちゃん」

「こんなことでウソは言わないよ」

目の前が真っ暗になった気がした。だって恋人じゃいられなくても、ずっと側で存在を感じられると思ってたから。

「出発は今日だよね。どうしよう、私ちゃんとお別れしてないし・・・行って欲しくない」

秋山君が前に留学のこと話したのはそういうことだったんだ。全然、そんなこと考えてもいなかった。こんなお別れは嫌。でも今さら、私に何が出来るんだろう?

気付くと涙が出てる。私は泣くことしか出来なかった。
< 282 / 319 >

この作品をシェア

pagetop