大嫌い、だから恋人になる
「じゃあ、今日の宿題から見てあげる。問題集見せて」

「ほら、これだよ」

秋山君はカバンの中から問題集を取り出すと、私に差し出した。

きっと汚ない字で、間違えだらけの解答で、メチャメチャに書いてあるんだ・・・・あれ?全部正解してる?

「秋山君、答え見たでしょ」

「見るわけ無いだろう。そもそも、解答集は配られて無いんだし」

「じゃあ、誰かに教わったの?」

「あのなあ、これ位、自分で出来るよ」

そんなのウソ。だって英語が割りと得意な私だって、ここの部分は凜ちゃんに教わったし。

「どんなインチキ使ったの?」

「インチキって。だから英語は大丈夫だって言ったろ」

「そんなの絶対信じない」

私がそう言うと、秋山君はカバンから本を取り出した。

英語の本だ。

私には何が書いてあるか全然わからない。

秋山君はそれをおもむろに読み出した。

その読み方は、日本人の発音と違ってて、ネイティブそのもの。つまり私には全然理解出来ない。

「わかったろ?俺、英語は大丈夫なんだ。そもそも俺、帰国子女だもん。わざわざ習わなくたって良い位なんだ」

何なのこの人?イケメンで運動神経抜群で、おまけに帰国子女なんて。そんなのズルい。

「まあ、でも折角、可愛い彼女が英語教えてくれるって言うから教わるよ。千川先生、よろしくお願いします」

秋山君はにやにやしながら言った。

その後、秋山君は英語で色々質問してきたけど、私にはさっぱり。プライドがボロボロの上に、私の問題集を見て言った。

「お前、ここ間違ってるぞ。ここは過去完了じゃ無い。それにこの訳も違う」

「ウソ」

「だいたい、ここは授業でやったばかりの個所だろ。どうしたらこんなに間違えるんだ?ちゃんと授業聞いてないからこうなるんだ。単語だってきちんとスペルが書けて無い」

秋山君が指摘した箇所は、自分で出来るからって、凜ちゃんには教わって無い箇所。秋山君はその後も容赦無く間違えた箇所や、勘違いしてる所を指摘する。

「お前、基本的な所が出来て無いよ。試験や英検はその場凌ぎて乗り切ったんだろうけど、これじゃあいつかボロが出るぞ。それにしても得意な英語がこれじゃあ、他の教科もダメダメだろ。でも良くこれでこの高校入れたな。一応、進学校なのに」
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