大嫌い、だから恋人になる
「もっと落ち込んでると思ったけど、案外、大丈夫そうだね」

となっちゃんが言った。

どうなんだろう、全然眠れなくて、花火大会の時以外はずっと引きこもってて、変なことばっかり考えてるのが、大丈夫って言うなら大丈夫だけど。

「なんか変なことばっかり考えてる」

「じゃあ、いつも通りってことだね」

と凛ちゃんが言った。

「ご飯はちゃんと食べてるの?ちーちゃん」

「食べてる。無理にでも食べた方が良いかなって。それにご飯食べてるとストレスが減る気がする」

「まあ、ほどほどにしておいた方が良いよ」

凜ちゃんは呆れたように言った後、

「それよりさ、ちひろ、彼氏欲しくない?紹介したい男子が居るの」

と突然言った。

「彼氏?別に欲しくない。今までずっと世の中のカップルを呪ってた所だし」

「何それ、ちーちゃん。でもその男の子、ちーちゃんのこととっても好きみたいよ」

「そうだよ、ちひろ。これが最後のチャンスかもしれないよ。人生の」

相変わらず凜ちゃんの突っ込みはキビシイ。

「そんなことないよ。私だって」

「いや、そんなことあるかもよ。ちーちゃん」

なっちゃんまで乗っかってくる。
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