モンスターハンタールチフェル
 ルチナの握る手の甲にギザレフの持つ黒い小剣の刃が触れた。

「お嬢ちゃん。チクッとするだけだ。大丈夫、動くんじゃないぞ」

 何注射するドクターみたいなこと言ってんのよ!



「うっ、あぁ」

 手の甲のキズに沿って切り傷を負わせられた。

 そこからポタポタと真っ赤な血が滴り落ちて、杯の中に溜まっていく。

 ルチナはそれを片目を閉じて見ていた。

 とうとう、底イッパイに血が溜まって、まるで赤ワインが注がれている感じだ。

 どちらにせよ、あまり飲みたくないが……



「そんな……」

 ギザレフの表情は、今や誕生日プレゼントを開けた瞬間の子供のように輝いて見えた。

 しかし、子供のような可愛さはこれっぽっちも無い。

「これで全て揃った! さあ黒龍よ、我らをこの絶望から救いだしたまえっ!!」
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