強すぎる彼女と優しすぎる彼

佳子は時間のない朝に急いで書いてくれた龍仁の文字を不備でなぞり胸に抱きしめた。

幸せな気持ちのまま桃に連絡をした。
今日は桃が仕事を休んでいることを知っている。

「元気なの？」
『そっちこそ！』
二人は近況報告をしあった。桃の会社に司が来ていることや桃は新しいプレゼンの準備におわれていること。佳子は不妊治療についてや結婚式についてを報告した。

のどまで司が北海道の大きなプレゼンに向けて頑張っていることや、桃を考えているからこそ今いろいろと準備していることが言葉にして出そうになった。それでも言わなかったのは桃自身が司のいない現実を受け入れ始めていることや、もしもの場合を考えると少し怖かった。