強すぎる彼女と優しすぎる彼
二人で歩むと決めた日
「そう来なくちゃ」
龍仁はそんな佳子を見て笑う。
「佳子。」
「ん?」
「俺今かなり幸せだ。」
「私も」
龍仁の言葉を佳子は待っていた。
今は龍仁の言葉を聞きたいと思った。

「俺たちらしくいられるように、無理はしないって約束だよな?」
「うん」
「無理、してないか?」
「・・・」
龍仁が言っているのは妊活のことだとすぐに佳子はわかる。
きっと龍仁はずっと言いたかったことを佳子には言わないでいてくれたのだと知っている。何度も言いかけたことを言わずにその時を待っていてくれたんだ。
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