強すぎる彼女と優しすぎる彼
佳子と龍仁は司が待っていることを知っていた。桃が司のイベントへ行こうとしていることも。だからこそ佳子は最後の打ち合わせまで時間がないと嘘をついて桃と別れた。

タクシーでイベント会場へ向かう桃を見送って佳子は涙があふれた。

「明日目が腫れたらどうしよう」
という佳子に笑いながら
「大丈夫。それでも俺の奥さんに変わりはないから。ただ一生その写真が残るな。」
「いじわる」
龍仁はおどけて佳子を笑わそうとした。

「緊張してる?」
「もちろん。でもやっと結婚式だな。」
「うん」
「佳子は?」
「私は楽しみの方が大きいよ。」
「そっか」
二人は車に乗り込んだ。
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