強すぎる彼女と優しすぎる彼
空っぽの部屋。
龍仁はまめな性格でよく掃除をしていた。そんな部屋にほこりがたまっているのを見ると余計に悲しかった。

佳子はクローゼットから龍仁のTシャツを出すと服の上から袖を通した。
久しぶりに龍仁の香りに包まれる。佳子は久しぶりにやっと眠れるような気がした。




『ガシャ・・・カチャカチャ・・・』
誰かのたてる心地よい物音に佳子が目を覚ますとそこにはキッチンに立つ龍仁の後ろ姿があった。

とうとう幻まで見えるようになった・・・。

そんなことを考えながら再び目を閉じようとすると、自分が龍仁のぶかぶかの部屋着を着ていることに気づいた。

体の上には毛布も掛けられている。

自分が眠った時とは全く違う状況に龍仁の姿は本物なのだと認識し始めた。
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