My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

「ライゼちゃん、明日私は何をすればいいの?」

 知らず胸を押さえながら訊く。

(まさか、ステージの上で歌うなんてことはないよね……?)

 すると、私の不安を読み取ってくれたのかライゼちゃんが優しげに微笑んだ。

「明日は、まずブライトに話をしようと思います。カノンさんが銀のセイレーンであるということも……」

 聞くと、ブライト君はライゼちゃんと国の人たちとの間を行き来する、所謂パイプ役を担っているのだそうだ。
 そしてライゼちゃんの守り役……ボディーガードでもあるらしい。

「その後で、少しずつ民の皆にカノンさんの歌を聴いてもらおうと思っています」

 少しずつ、という言葉にほっとしながらも、やはり肩が少なからず重くなった気がした。

(でも、がんばらなきゃ!)

 ――そしてそのために、一つやらなければならないことがある。
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