My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

 初めてクラール君を見た私でさえショックを受けたのに、友達の憔悴しきった姿を見るなんてどんなに辛いだろう。

「……ラウト様、ライゼ様の元へお戻り下さい。クラールは私が看ていますから」
「もう、嫌だ」
「え?」

 小さく、でもはっきりと聞こえた彼の言葉に、私とブライト君の声が重なる。

「もう、こんなのは嫌だ!!」

 そう叫んだ彼の顔は怒りと悲しみに満ちていた。
 止める間もなく、彼はブライト君の横をすり抜け外へ飛び出していってしまった。

「ラウト君!!」
「ラウト様!?」

 私たちはラウト君の後を追ってすぐさま家を出る。
 闇夜の中を駆けていく少年の後姿はどうにかすぐに見つけることが出来た。
 だがその向かう先は森ではなく、

「まさか……!」

ブライト君が酷く焦った声とともに走り出した。
 私もそれを追いかける。

「ラウト様いけません! お戻り下さい!!」

 大きな声で叫ぶブライト君。
 しかしラウト君の足は止まらない。

「ラウト君、どこに向かってるの!?」

 ブライト君はその行き先に検討がついているようだ。

「おそらく、ランフォルセの駐在員の所です!」
「! で、でもラウト君その場所知ってるの?」

 戦争が終わってからずっとライゼちゃん達と共に森の奥に隠れ住んでいるラウト君。
 戦争後に出来たであろうその場所を知っているのだろうか。

「クラールに聞いたのでしょう。以前その場所は、子供達の遊び場でしたから」

 悔しげな声。
 ――もう嫌だ。そう呟いたラウト君。
 それはこの国の現状のことを言っていたのだろうか。
 でも彼がその場へ行っても、ただその身が危険なだけだ。
 他の子供たちと違い、まだしっかりとした体つきをしたラウト君。
 そんな彼をランフォルセの者が不審に思わないわけがない……!
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