My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「え? ど、どこって……?」

 慌てる。ラグがいない中下手なことは言えない。

「いや、知らないならいい。……スマン、気にするな」

 そしてセリーンはそれ以上口を開かなかった。


 その後、戻ってきたラグの髪の毛にブゥの姿はなかった。きっと放してきたのだろう。
 こんな草原ならブゥの食料になる小さな虫がたくさんいそうだ。
 虫を追いかけるブゥを想像して私は小さく微笑んだ。

「おい、オレが先に寝るが、いいか?」
「あぁ、眠くなったら容赦なく叩き起こすからな」

(あ、そうか。皆で寝ちゃったら危ないもんね)

「私も起こしてね!」

 自分だけずっと寝ているのも悪いと思い二人に言う。……でも、

「いいからお前は寝てろ。お前が見張りなんておちおち寝てらんねぇよ」
「うっ……」
「カノン、これが私の仕事だ。ゆっくり休め」

セリーンに優しく言われて私は二人にお礼を言った。

 この二人と一緒でよかった。心からそう思った。

 暗くなってすぐに寝るなんて、日本の現代っ子である私には考えられなかったことだが、流石に一日中歩いたからか、足を抱えて顏を埋めていると間もなくして睡魔がやってきた……。

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