暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
だって私は、上位といっても一位ではないからだ。
当の一位は…

「…やっぱり、新城(しんじょう)君ですか」

新城君こと、新城裕翔(ゆうと)。
成績抜群、スポーツ万能、おまけに眉目秀麗ときた。
まさに絵に描いたような、完璧男子。
女子にキャーキャー言われるのも、言うまでもない。

ただ、1つだけ欠点がある。私しか知らない、彼の欠点。それは、たぶんこのあとわかるでしょう。

「菜乃さん。今日の授業も終わったことですし、一緒に帰りません?」
「ごめんなさい。このあと用事がありまして…」
「そう。また今度お誘いするわね。では、さようなら、菜乃さん」
「さようなら、百合」

手を振って、綺麗にお辞儀をして帰っていく百合。
教室は誰もいなくなって、シーンとしている。
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