暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
「そろそろ、来る頃……」
「菜乃ーーーーーーーー!!!」

ドーンと音がしそうなほど突進してきたこの男。
危なく倒れるところでした…

「あの、離してくれませんか?裕くん」
「つーめーたーいー!菜乃、もっと優しくしてよ!幼なじみでしょ?!」

この人もまた、どこかの総長さまみたいに、普段は想像がつかないほど、幼い顔をします。
普段は、無愛想だし、『氷の王子』なんて言われてるけど、私から言わせれば子犬みたいな感じ。

「菜乃、なんでそんなに最近冷たいの?」
「なんででしょうね。とにかく離してください」

今の、裕くんにぎゅっと抱きつかれた状態では身動きが取れないし、何より見られたらまずい。

「ねえ菜乃。じゃあ、あれ言ってよ」
「あれ?」
「ほら、昔言ってくれてたじゃん」
「……?」
「覚えてないの?よく俺に『世界で一番大好き』って言ってくれてたじゃん」
「…〜〜っ!!」
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