Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
事前に、どこに行きたい?と聞かれた私は


「どこでもいいです。」


って、つい答えてしまった。1番しちゃいけない答えだったと反省していると


「ドライブの定番なら海だけど、季節的には、紅葉なんてどうだ?」


と小笠原さん。すぐによろしくお願いしますと答えて、今日の目的地が決まった。


クルマは市街地から、やがて高速道路へ。小笠原さんの運転は、助手席に乗っていても、安心で快適。


途中の休憩も、タイミングを見計らって、入れてくれて、さすがの気遣い。


「あの、今日はすみません。」


「うん?」


「考えてみたら、ずっと小笠原さんに運転していただくことになるんですよね。お疲れなのに・・・言っていただければ代わります。運転、あんまり自信ないんですけど・・・。」


そう言うと、小笠原さんは吹き出した。


「石原は、本当に気にしいだな。いいんだよ、これは俺のクルマなんだから、俺が運転するのが当たり前。だから、お前はお客様のつもりで、デカイ顔して、そこに乗ってりゃいいんだよ。」


「でも・・・。」


「それにはっきり言って、大切なクルマなんだから、運転慣れてない奴にハンドル任せたら、かえって気が休まらないよ。」


そう言うとイタズラっぽく笑う小笠原さん。


「はい・・・、すみません。」


「バカだな、謝ることじゃないよ。」


シュンとした私の頭を、そう言って笑いながらなでてくれる小笠原さん。


あっ、高速の片手運転、危ないです・・・なんて思ってしまった私は、どうもトンチンカンなことばかり言って、いつも小笠原さんを呆れさせちゃってるみたい・・・。
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