Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
俺は、手紙を破くと、そのくずを石原達に投げつけた。 


「ちょ、ちょっと何すんのよ。」


「澤城くん・・・。」


俺の行動に、2人だけでなく、周りの連中も目を見張り、一斉に俺を見た。


「いい加減にしろよ!」


そんな視線をものともせず、俺は怒鳴った。


「お前ら、こんなことして、何が楽しい。人の心を弄んで、傷付けて、それで喜んで・・・お前ら、最低の人間だな!」


「ちょ、ちょっと澤城くん・・・。」


口ごもる小川の横で、石原は泣き出す。しかし俺の怒りは収まるはずもない。


「とにかく、お前ら、もう2度と俺に話し掛けて来んじゃねぇぞ。いいな!」


「待って、澤城くん!」


号泣する石原の横で、やっぱり泣き出しながら、呼び止めようとする小川の声を振り払うかのように、俺は教室を飛び出した。


それからしばらく、俺は大ヒールにされてしまった。女の涙に弱い奴はいつの時代にもいるもんだ。だが、俺は、そんなことはいっこうに気にせず、日々暮らしていた。


「裕孝、すっかりお前を悪者にしちまったな。」


「関係ねぇよ。もともと好かれてたわけじゃねぇし。事情も知らない奴が、何言ったって、俺は平気だよ。」


済まなそうに言って来る翔真に、俺は笑ってそう言った。
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