小指
「好きだから」

ぼそっと智くんが言った
消え入りそうな
ドアの閉まる音に
溶け込んでしまうような
小さな声だった

「本当に?」

智くんが頷くと
私の手を握ってくれた

中学のときには
なかった
触れ合いだ

「もし春香ちゃんの中で
自然消滅ってのになってるなら

付き合って欲しい」

し、心臓が。。。
バクバクしてるんだけど

どうしよう
すごく嬉しい

私は真っ赤な顔で下を向いた

「お…お願いします」
電車の音に
同化してしまいそうな小さな声で
つぶやいた

きまづい別れ方をしたと
思い込んで

勝手に
智くんに対し
苦手意識をもっていた

上手にできなかった恋愛に
ストレスを感じ

智くんを
嫌うふりをして
ストレスを消化しようとしてた


悪いヤツだ
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