私の中におっさん(魔王)がいる。
「それとも、もう死んじゃって、ここは天国とか?」

 冗談ぽく口にしたけど、次の瞬間、本当にそうじゃないかって思って血の気が引いた。
 パニックになりそうな気持ちを抑えて、

「いやいや、落ち着いてゆり! そんなはずないから! ……多分。いや、絶対!」

 思い切り頬をつねってみる。

「痛い! 痛い!」

 ってことは、これはまぎれもなく現実で、私は生きてる。

「よかった!」

 ほっと一息ついて、ふと気づく。

「でも、ここどこ?」

 私はゆっくりと起き上がると、とりあえず障子に手をかけた。ちょっとドキドキする。

「まぶしい」

 障子を開けると、庭があった。小さな日本庭園といった感じで、庭石が敷き詰められ、松にしてはみどりの色が鮮明な低木と、丸く葉をカットされた木がそこかしこにある。
 足元には縁側。
 私、初めて見た。
 たしか、小さい頃に曾おばあちゃんの家に縁側があったけど、そこにはガラス戸があった。けど、ここにはない。縁側の上には屋根が伸びてるけど、この部屋から一歩出たら外って感じ。

(こういうのって、大きなお寺とかにはありそうだけど……。ここって、お寺なのかな?)

 でも、どうして私がお寺に?
 首を捻ると同時に、

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