Fall -誘拐-


“黒部リカを誘拐したのは俺だ”


西平はなんで20年経った今、
あんな事を言った・・?

この事件にアイツはどう関わった・・?


事件の詳細を知っていたって事は、
やはり共犯者の1人だったのか・・?


“20年経った今も、
俺の手で監禁している”


もしリカさんが本当にまだ生きているなら、その身柄はXが監禁しているはずだ。


・・Xが西平だとはどうしても思えない。





「・・神野・・刑事さん・・?」


「あ、はい。」


ベンチに座りながらここまでの捜査状況を整理していたら、

思わず没頭していたようだった。


こちらから呼びつけておいて失礼な態度を取ってしまったので、

俺の前に立つその方にお詫びする。


「初めまして。徳永です。」


「お忙しいところ申し訳ございません。」


「いえ、ちょうど回診が終わった所でしたので。」



今回立ち向かうヤマ。

なにより“20年”という歳月が最も大きな弊害だった。


東条警部が志し半ばで倒れたように・・

リカさんの父、黒部テルヨシさんがあのような状態になってしまったように・・


当時あの事件に関わった・・
もしくは関わった人達を知る人物は・・

そしてその記憶は、
時間の経過と共にどんどん限られていく。

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