Fall -誘拐-


捜査1課 堺マコト
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「それでは開廷します。
ご起立下さい。」



被告席に座る西平の表情は、
どこか吹っ切れた様子だった。


西平の告白で中断された審理。


連続拷問殺人についての議論は、
既に尽くされていたので、

あとは判決を言い渡すだけだった。


裁判長に促され、西平がその前に立つ。


「被告人。

これが本当に最後です。
何か言っておきたいことはありますか?

但し、先日あなたが告白した黒部リカさん誘拐についての発言は全て却下します。

検察の捜査の結果、
そのような事実は無いと・・

あなたの虚言だったことが断定されています。」



裁判長の一言で、
満員の傍聴席がざわついた。


どこかの記者で、
速報を流したかったのだろうか、

“虚言”という言葉が出た瞬間、
慌てた様子でこの場から退席していった。


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