midday crow
ようやく息が整ってきて、紅羽は胸に手を当てる。

心臓はまだ高鳴っていた。

自分の中をすさまじい速さで血液が流れているような感じだ。

必死で、この上なく疲れたのに、──かつてないほど楽しい。

まさに飛び立ちそうなほどの歓喜、興奮だ。

指が踊り、五線譜の上を音が滑る。

無意識に、紅羽の唇は弧を描いていた。

「太陽くん」

「え?」

皆の顔も紅羽と同じだ。溢れる楽しさ。
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