midday crow
そうして数日、始業式やら入学式やらを通り過ぎ、部室で音を合わせる日々である。

紅羽は正直ほっとしている。

入部理由を細かく訊かれなかったからだ。

紅羽は嘘が上手くない、追求されたらボロが出る。

だから忙しく演奏する今を気に入っている。

「なあ、紅羽はどう思う!?」

説明しても理解してもらえない太陽が紅羽に助けを求めた。

同じ高校で一年過ごした同級生とはいえ面識はないのに、最初から名前呼びか、とちらっと思ったが、どうも太陽はそういう性格らしい。
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