midday crow
「うそ、いつの間にチャイム鳴った?」

正直にも紅羽は目を見張り、そんなことを言ってしまう。

チャイムは全く耳に入ってこなかった。

「いつの間にって……。そもそも……。あ、まさか」

授業の終わりを知らせる鐘が鳴ったことに気づいていないこと。授業後のものの数分で、大量の楽譜を書けるわけがないこと。

照らし合わせて考えれば、簡単に答えに辿り着くだろう。

彩人は、彼にしては珍しい、じとっとした目で紅羽たちを見下ろした。

「……こら」

「……はい」

「言いたいことは色々あるけど」

はあ、とため息をつき、手近な楽譜を拾い上げる。
< 301 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop