midday crow

さらりと目を走らせながら、小さく微笑んだ。

「紅羽ちゃんにとって、悪いことにはならなかったのかな？」

「……うん」

「それなら、よかった」

今度こそ紅羽を見て笑う。

にっこりとした、いつもの彩人の笑みである。

紅羽は照れ笑いを返した。

多分、二人がサボったことを察していない焔は、床を埋める五線譜を拾い集めてくれている。

「ありがとう、ごめん」

「いや」

受け取ろうと手を伸ばす紅羽に紙束を渡しかけて、焔は動きと目線を止めた。

「……『コア』？」

一番上の紙に走り書きされた言葉を呟く。