midday crow
そんな紅羽に彩人は一歩近寄って、柔らかい動作で腕を上げた。

そのまま手は紅羽の頭の上に乗る。

優しく撫でられて、少しずつ落ち着きを取り戻した。

淡白だとか冷たいだとか、さっき彼は散々言ったけれど、それは嘘だと思う。

淡白で冷たいのは、彼の境界線の外側の人間にだけだ。

内側の──つまり焔や太陽には、ずっと優しい。

そしてそこには、光輝も含まれていたと思うのだ。

多分彼も、傷ついた人なのだ。
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