白井君の慰め方

白井君は申し訳なさそうに、うんと頷いた。間違えたけど、そのつもりだったのだと。
大きな溜め息をついた白井君は、なんだかどっと疲れていた。

「…なんかもう疲れた。相原さんの為にと思ってたのに、こんな事になるし…慣れない事はするものじゃないね。駄目な自分に落ち込む」
「お、落ち込む事ないよ!私は嬉しいよ!」
「でも嫌な気持ちになったでしょ?三嶋に聞いた」
「三嶋君…」
「三嶋の方が相原さんの事分かってる。それにきっと、あの先輩の方が相原さんを優しく気遣える」

そんな事を言ってぐったりする白井君に、そんな事はないといくら伝えてもまるで無駄だった。でも分かる。そんな気持ちは私も経験がある。自分が何しても空回りしている気がして自分を好きになれない時、私はいつも白井君に慰めて貰ってきた訳で…そうだ。

ヨシヨシと彼の頭を撫でてみた。そうだった。白井君も言葉で上手く出来ない時、隣にいてくれたり、手を握ってくれたりした。私もそうすれば良いんだ。言葉でなくても私の気持ちが届くように。白井君に少しでも温かさが伝わるように。

「……」

白井君は黙って、させるがままに撫でられていた。彼が何も言わない間、私はただただ撫で続ける。すると白井君が一言、

「…安心する」

と、ポツリと呟いた。

「わ、私でも安心する?」
「するよ。相原さんと居る時はいつも嬉しいし、楽しいし、安心する。今も頭から癒されてる」
「じゃ、じゃあもっと撫でる!!」

ワシャワシャと思いっきり両手で撫でると、白井君は楽しそうに笑ってくれた。

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