白井君の慰め方

「あはは、全力で相原さんに慰めて貰ってる」
「慰めるよ!会った時からずっと私は白井君に慰めて貰って来たんだから、今度は私の番!いつでもどこでも、なんでも言って!」
「なんでも?」
「なんでも!」
「…じゃあ相原さん、こっち来て」

白井君が両手を広げる。

「もっと慰めて」

ドッと心臓が音をたてる。その言葉に引き寄せられるように、恐る恐る近づくと、ギュッと優しい力で抱きしめられた。温かい白井君の体温と、鼓動を感じる。私からもそろそろと手を伸ばして抱き締め返してみると、白井君が、小さく息を吐いた。

「俺、相原さんが好きだな」

呟く独り言はまったりと幸せの気配を含んでいて、私は込み上げる涙を必死に抑えた。
こんな幸せな事があって良いのだろうか。
私には勿体無い幸せだ。勿体無い人だ。

「…私で、良いの…?」
「相原さんが良いよ」
「…ありがとう」

前を向いてきて良かったなと思う。色んな事があったけど、向き合ってきたから今がある。私には勿体無い人だけど、私が見つけた、私だけの人。ずっと私を支えてくれた、自分を大切に思う自信をくれた、誰より大事なこの人の傍に居たい。今度は私が支える番。ずっと、ずっと、一緒に寄り添って。

きっとこれから何があっても、ずっと傍で支え合っていきたい彼の名前は白井君。

私の、世界で一番大切な人。


これからはきっと慰め合う私達の、下手くそな恋の物語がずっと続いていくのだーー





白井君の慰め方 完

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