白井君の慰め方

私が昨日会えなくて寂しかったみたいに、白井君も思ってくれたのかな。そんな事を思う気分は上向きで、白井君の顔を見たくて仕方なくなった後、結局前回同様また帰りの待ち伏せをしている自分が居た。あんなに悩んでいた私はどこへやら。流されやすい人間なんだなと、また自分の嫌な所が発見される。それが私の恋である。

「……」

恋か。白井君の事、好きだなぁ…好きだなぁ…
なんで私はこうなんだろう。

自分が嫌だ。好きだって言ったり違うって言ったり、やめなきゃと思うのにやめられないでいたり、結局甘ったれで白井君に許されようとする自分が嫌いだ。白井君に迷惑を掛ける自分が嫌いだ。

だけどやっぱり白井君が好きなのは止められない。

ガヤガヤと声が聞こえて来る。校門に立つ私は俯いていた顔を上げた。白井君の声が混ざってるのが分かったからだ。こんな気持ち悪い聴力も彼専用のものである訳で、だから奴が一緒に居る事は分からなかった。

「あ、相原さんじゃんマジで居た!」
「…げっ」

先に声を掛けてきたのは三嶋君だった。そうだった、この人も居るんだった。白井君で頭が一杯で忘れてた。

「げって何げって。俺も居るって言ったじゃん」
「……」
「でたよシカトー。相原さんマジで塩なんだけど白井からも言ってくんない?」
「相原さん、三嶋と仲良かったの?」
「仲良く無いよ」
「即答は辛いわー…」

なんだなんだと、この間はなんだかんだでさっさと帰っていった他の部員達も、三嶋君の反応に興味を持ってその場に残る。すごくやり辛い。何を話せば上手く乗り切れるのかも分からず、そっと白井君の傍へ寄る。

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