白井君の慰め方

「お、お疲れ様…」
「お疲れ様。待っててくれたの?」
「うん…」

待っててくれたの?の、声色の優しさが身に染みる…待ってて良かった。変に悩んでウダウダせずに昨日も来れば良かった。やっぱり私には白井君だよ…

「俺のおかげね。白井が寂しがってるから来るように言ったからね」
「…俺が?」
「ち、違う違う!」

また余計な事を!俺が?って、白井君完全に何の話か分かってない顔じゃん。心当たりないんじゃん。なのにこんなの、私が白井君の為に来てあげましたみたいな言い方じゃん。

「私が、私の為に来ただけなの。だから三嶋君がどう言ったとか関係無くて」
「あーじゃあ昨日帰ったのは気分が乗らなかったって事か。白井は勿論、俺も置いて先帰っちゃったもんなー?」
「!!」

ジロリと三嶋君を睨みつける。もう何なんだこの人は。どうしたいんだ、なんでこう拗れそうな言い方をするんだ。周りの部員の方々も、昨日何があったんだよ的な、おまえらいつの間に仲良くなったんだよの空気が漂っている。ていうかすでに口から気持ちが出ちゃってる。もう早く帰って下さい…

「…悪いけど、先に帰ってくんない?」

聞こえてきたそれは、芯の通った低い声。
ハッと皆が見た声の主は白井君。彼はいつもと変わらない無表情だった。でもどこかピリピリしているような、それにどんよりしているような、言うならなんだか苛立っているような感じで、そんな白井君なんて私は初めてで、

「ご、ごめんっ、帰るね」

やっぱり迷惑になってしまったんだと後悔して慌てて先に帰ろうとした。すると、急にグッと手首を掴まれる。

「相原さんが困ってるから、他の皆さんは先に帰って貰えますか」
「……」

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