二人を繋ぐ愛の歌
「大丈夫?配達行ける?」

「あ、はい、大丈夫です。
助けてもらってありがとうございました」

台車から手を離すことなくお辞儀をして感謝を伝えると、顔を上げた時に男性は僅かながら不満そうに顔を潜めていた。
その表情の理由が分からず首を傾げるも男性に先を促されたので台車をゆっくり押し始めた。

「……この業界の人間はあんな風に結構馴れ馴れしく触ってきたり口説いたりしてくる奴が多いから気を付けないと駄目だよ」

「そうなんですね、私みたいな一般人にも声をかけてくるとは思わなかったので正直驚きました。
忠告ありがとうございます」

そう話ながらエレベーターに乗り、ドアが閉まった瞬間に男性はこちらをじっと見下ろしてきた。
何だろう?と首を傾げているとその男性は小さく溜め息をついてから徐に口を開いた。
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