二人を繋ぐ愛の歌
「良かった。
昨夜の仕事が終わったときになっていきなり勇菜が両親と沙弓を会わせるように仕組んだって言い出したから……気が気じゃなかった」

「そう言えば勇菜ちゃんと全然会わせてくれないけど……どうして?」

クリスマスライブの後に“ちゃんと説明する”と勇菜に言ったと言っていたけれど、拓也の話から察するに多分ちゃんと説明してはいなさそうだ。

それに、あのライブから勇菜に会わせてもらっていないのも疑問にも思っていた。

「勇菜と沙弓を会わせたら確実に沙弓を勇菜に取られるだろ?ただでさえ会える時間が少ないのに……」

「え、もしかして妹に嫉妬……」

「うるさい」

きょとんとして見上げれば顔を反らして不機嫌そうな顔をしている陽人がそこにいた。
けれどその耳は微かに赤くなっていて、思い出すのは先日の勇人の様子だった。

「……本当、親子なんだね……所々本当にそっくり」

「あのさ、両親とどんな話をして何を見たのか知らないけど、父さんと比べて笑うの止めてくれる?」

「ごめんね。
でも、お母様とお父様じゃなくて拓也さんが殆ど話してたかな」

「うわ……いらないことばっかり話してそう……」

心底嫌そうな顔をする陽人に沙弓は吹き出し、声を出して笑いだした。

そして陽人が沙弓の家に同棲するようになった理由が嘘だと聞かされたことを話すと、最初は眉を潜めていた陽人も笑顔で話す沙弓の様子を見ると徐々に表情が柔らかくなり、最後には勇人の言葉を肯定していた。
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