二人を繋ぐ愛の歌
次の日、普段ではしないような小さなミスをいくつかしてしまい遥に心配されながらほんの少しの残業をして仕事を終えた沙弓は【多幸】に寄ってから暗い夜道を一人、また大量の袋を下げながら歩いていた。

「久しぶりにしょうもないミスした……。
きっと陽人さんのせいだ……」

陽人が昨日突然現れたことと一緒に食事をしたことはともかく、名前を呼ばれた事は少なからず沙弓に動揺を与えてたらしく沙弓は小さく息をつくと重い袋を持ち直しながら黙々と歩いた。

ふと視界に路肩に停まった車が見え、普段は車通りが少ないこんな所に珍しいなと思いながら車の横を通り過ぎると誰かが運転席から飛び出した気配がした。

「沙弓!」

「え?」

最早聞き慣れた声に驚いて振り返ったと同時に腕を掴まれ、目を見開いて腕を掴んだ人を見上げるとそこには案の定最近ではすっかり見慣れたボサボサ頭の陽人がいた。

「……びっくりしたぁ……。
何でこんな所にいるの?」

「いや、家に帰るつもりだったんだけど気付いたらここに……」

「何それ、変なの」

驚きに見開いていた目は安心したせいで細まり、肩の力が自然と抜けるとさっき驚いてしまったのが可笑しく思えてきてクスクスと笑ってしまった。

そんな沙弓の腕を掴んだままだった陽人が何故か目を見開いて沙弓を見下ろしていたが沙弓は笑いがおさまるとその腕をチラッと見て口を開いた。
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