溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「部屋の中には鍵も付いているし、シャワールームとトイレも完備されている。だから、安心して休むといい」
そこはまるでホテルのような一室だった。一目見ただけで良質だとわかる大きなダブルベッドに、センスのいい調度品や高級そうな家具。
まるでインテリアコーディネーターにでも選んでもらったかのように、すべての家具が部屋にピッタリと合っていて、落ち着いた雰囲気の素敵な部屋だった。
「い、いいんですか? この部屋使っちゃって」
「いいもなにも、使ってくれないと俺と一緒に寝ることになるけど、いいの?」
子どもみたいにニヤッと笑い、冗談っぽい口調で楽しげ。いつもこんなだったら、冗談だってわかるのに。
「俺はそれでも構わないが」
「いえ、それではお言葉に甘えて使わせていただきます」
「残念、期待してたんだけどな」
「それじゃあ、おやすみなさい。失礼します」
冗談に付き合うことすら、疲れてしまった。とにかく今日は色んなことがありすぎて疲労困憊。
ふかふかのベッドに大の字で飛びこむと、寝心地のいいマットレスに身体が沈んでまぶたが落ちていきそうになる。
ダメダメ、せめてメイクだけは落とさなくちゃ。