溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜

重い身体を持ち上げて、バスルームへと向かう。ホテルのようにアメニティがひと通り揃っている。

メイク落としに洗顔に化粧水、美容液に乳液、クリーム、シャンプー、トリートメント、ボディソープにボディタオル、さらには歯磨きセットまで。しかも私には手が出せないほど高級ブランドのもので、どれも一度きりの使い切りタイプのものだ。

タオル類やドライヤーも用意してあり、ここはゲストルームにして使っているのだろうか。シーツは清潔で、床にも埃などはなく、部屋の隅々までお手入れが行き届いている。

これだけ女性用のアメニティが揃っているということは、きっと、そういうことなのだろう。

よかった、惑わされないで。優のときの二の舞いになるところだった。

煩わしいことはこれ以上考えたくないから、早く寝てしまおう。素早くメイクを落として歯を磨く。

そのあと眠気が飛んでしまい、そのままシャワーを浴びることにした。さすがに下着の予備はないだろうと思ったが、驚くことに使い捨ての簡易的な物が洗面台の下の棚に置いてあった。

なんという行き届いた心遣い。けれどこんな物が用意してあるってことは、それだけ頻繁に女性の出入りがあるんだろう。

いちいち想像してしまう自分のことが嫌になる。

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