部長は私を甘やかしすぎです!
第二十四章

○平日、本社ビル

竜二は外出から戻ってきた

真木 「部長、社長が戻られたら部屋に来るようにと」

竜二 「わかった、行ってくる」

竜二は八階に行きドアをノックする

父  「例のもの届いたぞ」

竜二 「ありがとう。俺が買ってもよかったんだけど、そんなことしなくていいって言いそうだし、仕送り止められたんだから家賃もいいって言ったんだけど言うこと聞かなくてさ。せめて携帯代だけでも負担してあげようと思って」

父  「しっかりしてるな(笑)」

竜二 「うん、定期預金もしてるみたいで、今は夏休みだから少しバイトも増やしてる」

父  「卒業したらすぐ結婚するのか?」

竜二 「俺はそのつもり。年齢的にもいいかなって、でも雫ちゃんは資格を取りたいっていう目標があるから、合格してからだと思うけど、試験に合格したら式の準備にとりかかるよ」

父  「わかった」

竜二 「じゃあ、これ、ありがとう」

竜二は自分の部屋に戻った

夕方、美咲からメールが入る

美咲 ‘今、企画で仕事終わって下にいるの、少し話がある’

竜二 ‘六階に来いよ’


竜二 「今から一人友人が上がってくる、来たら通して」

真木 「はい」

美咲はエレベーターで六階に上がってきた

真木 「いらっしゃいませ、こちらへ」

部屋をノックして美咲を通す

美咲は部屋をキョロキョロ見回す

美咲 「すごいね、個室で秘書付きなんだ」

竜二 「みんながそうではないけど、客の多い人や、俺は逆に外に出ることが多いから連絡事項は秘書が聞くことになってて外出先からでも対応できるようにしてる」

真木がお茶を運んでくる

美咲 「すみません」

竜二 「で、話って?」

美咲 「この間ね、竜二が買い物出てる時に広樹に言われたの。竜二のことはもういいのか?って、まあそこはみんなの前でもういいって言ったんだけど」

竜二 「うん」

美咲 「帰りにね、広樹が送ってくれてね……付き合わないかって言われたの。大学の時から実は好きだったって……」

竜二 「大学から?……全然知らなかった」

美咲 「竜二には敵わないと思ってて言えなかったんだって」

竜二 「広樹はいつもニコニコしててムードメーカーだし、美咲のわがままを聞いてくれるよ」

美咲 「うん、まあそうだと思う。で、付き合うことにしたの」

竜二 「よかったな、大きな身体で気は小さい奴のことだからお前に言うのは勇気を出したと思うぞ。呑んでたから酒の力も借りれたかもしれないが、大事にしてやれよ」

美咲 「うん、でね、雫ちゃんの料理を美味しいってバクバク食べてたから今度教えてって言っておいてね(笑)」

竜二 「お前が料理?無理だろ(笑)」

美咲 「だから初心者でも作れる簡単料理をちょっと企画のことも考えて」

竜二 「仕事にするのかよ……広樹ならお前の料理なら食ってくれるよ」

美咲 「まあ、聞いてみといてね」

竜二 「あー、でもちょっと試験受けたいらしいからそれが終わってからだな」

美咲 「試験?大学の?就活?」

竜二 「管理栄養士の資格」

美咲 「あら、そうなの。肩書きがついていいかも(笑)わかったわ、企画眠らせておくから、まあ、一応報告に来ただけよ、帰るわね」

竜二 「ああ、またな」

美咲は帰っていった

真木がお茶を下げにくる

真木 「今の方は夏祭りのイベント会社の方ですね?お見かけしました」

竜二 「ああ、大学時代の彼女だ」

真木 「お綺麗な方ですけど、雫様のほうがお似合いです」

竜二 「そうか」

真木 「結婚と恋愛は違いますものね」

竜二 「君もそうか?」

真木 「私は大学時代からの付き合いなので一緒でした(笑)」

竜二 「まあ、お互い仕事を選んだ結果だ」

真木 「そうですね、またそれも運命です」



○竜二のマンション

竜二 (もうすぐ雫ちゃんのバイトが終わる……走って迎えにいこうかな)

竜二は着替えてマンションを出て三沢店へ向かって走っていく

雫  「あれ、竜二さん」

竜二 「えっ」

竜二は時計を見た

竜二 「もう、こんな時間?俺の予定では雫ちゃんの終わる時間に着いて一緒に帰ってくる予定なんだけど」

雫  「九時とっくに過ぎてますよ~(笑)」

雫の自転車の後ろをついて走ってマンションに帰る

竜二 「ハアハア、雫ちゃん、先……お風呂いいよ……少し休憩してから入る」

雫  「急にはだめだよ、ゆっくり走ってね。じゃあお先にです」


竜二が浴室から出てきた

雫  「竜二さん、食事は?外で食べたの?」

竜二 「いや、まだ」

雫  「お腹減ってたら走れないよ、少しは何か食べないと、帰るの遅い時は無理しないで」

竜二 「そうだな、食べる」

雫  「じゃあ私も少し(笑)」

二人 「乾杯~」

竜二 「今日、美咲が来てね」

雫  「うん」

竜二 「広樹と付き合うんだって」

雫  「広樹さんて身体の大きい人?」

竜二 「えっ、自己紹介してないよね?」

雫  「みんなが会話して名前呼んでたら覚えた。名字はわからないけどね。女の人は美咲さんと綾さん、あとは竜二さんと忍さんはわかるでしょ、広樹さんが身体の大きい人、眼鏡かけてた人が俊さん、髪長めで束ねてたのが貴志さん、少し小柄の人が祐介さん、結婚する人が紀之さんで短髪で角刈りの人が歩さん」

竜二 「すげっ!そういう特技もあるんだ」

雫  「特技ではないけど話を聞いてたらわかるよ(笑)」

竜二 「広樹が雫ちゃんの料理をよく食べてたから美咲が教えて欲しいって」

雫  「いいけど……」

竜二 「試験終わってからにしてって言っといたよ」

雫  「ありがとう」

竜二 「そしたら肩書きがつくから待つって(笑)」

雫  「この間も何かいい企画ない?って聞かれた」

竜二 「まず、包丁握れって感じだよな」


竜二は寝室に行くと袋を持ってきた

竜二 「これ、親父から雫ちゃんへ」

雫  「携帯?」

竜二 「うん、今俺と契約会社違うでしょ?」

雫  「うん」

竜二 「同じにしてって。いずれ家族になるんだから、それと海外対応になってるからね。兄貴が海外にいるからみんな同じ契約の仕方になってるし携帯は俺も親父がお金は出してくれてる。家族って認めてくれたってことだね」

雫  「いいの?」

竜二 「うん、データ移して使うといいよ」

雫  「ありがとう、明日お父様に電話入れる、番号教えてね」

竜二 「うん、かけ放題になってるから実家とも話していいからね」

雫  「うん、ありがとう」


竜二 「そうだ、一日から舟木の店長がくるから様子見てあげて」

雫  「はい、店長やってたんだからきっと頑張ってたとは思うよ」

竜二 「多分な、甘いかなー俺……」

雫  「竜二さんが判断したことだから大丈夫だよ、お酒が減ればまたやる気出てくるよ」

雫のほうから竜二の頬にキスをする

竜二 「うん、そうだな」

お返しに雫の唇へキスをしてそのまま寝室に向かった

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