瓦礫の剣士
俺はかばんの中からばんそうこうを取り出し、「帰ったらちゃんと消毒するんだぞ」と言いながら男の子の膝に貼る。

「うん!お兄ちゃんありがとう」

男の子は涙をぬぐい、俺にニコッと笑ってくれた。俺もつられて笑う。

それからすぐに男の子のお母さんが走ってやって来て、俺は頭を下げられた。俺は「いえ、帰ったら消毒お願いします」と言い学校へ向かおうとしていた。

それが起きたのは、突然のことだった。

地面が大きく揺れ、「きゃあぁぁぁぁ!」とあちこちから悲鳴が聞こえる。俺も立っていられず、地面に倒れてしまった。

家の瓦が俺の近くに落ち、俺は緊張する。「怖いよぉ〜」と男の子の泣く声が聞こえた。

どれほどの間、揺れがあったのかはわからない。しかし俺が今まで体験した中で、一番大きな地震だったことは確かだ。

「とりあえず、避難しましょう」

男の子とお母さんに声をかけ、俺たちは山の方へと逃げる。ここは海に近い。これだけ大きな地震だったのだから、津波が来るかもしれないと思ったからだ。
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