ノワールとブロンシェール
はあ、つまらん

学会とは名ばかりの集まり

挨拶して
その後も挨拶して

つまらん

どーせ大したことないのだから
休んでもよくね?
と思うのだが、
部下たちに引き止められる

部下を困らせるわけにはいかないと
挨拶するけれどさー

ステージ上に立ち、
グラスを持ちながら
決まり文句を言って乾杯

今年もそうだと思っていた

しかし、クンと引っ張られる

まるでブロンシェールと会ったときのようだ

ブロンシェール

そう思うだけで、心が暖かくなる

それと同時に寂しさも

嗚呼、逢いたい

会場内を見渡す

ブロンシェールがいた
あの美しくも優しい魂を持つ少女は
紛れもなくブロンシェールが持っていた魂だ

力が抜け、グラスがスルリと落ちた
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