鬼課長の魔法の義足。(11/24修正完結済み)

優しい笑顔で微笑んでくれた。私も嬉しくなる。
そして、お互いに支えながら
練習に励みいよいよ予選大会が行われる日に。
陸上競技場には、たくさんの選手や観客が居た。
なんか私までドキドキしていた。

私も篠原さんと夏美さんと一緒に
サポーターとして付き添うことになった。 
今日の結果次第で課長は、パラリンピックの
日本代表選手になれるのかが決まるのね。
どうしよう……緊張しちゃう。

「二階堂さん。大丈夫か?
なんか顔色が真っ青だよ?」

「だ、大丈夫です。
昨日、緊張し過ぎて寝れなくて……」

「あなたが緊張してどうするのですか?
選手でもないのに」

私が緊張していると篠原さんが心配そうに言ってきた。
夏美さんに呆れながら言われてしまう。
確かに……そうなのだが。

チラッと課長を見ると何事もないように
ストレッチをしていた。
さすが課長……落ち着いている。

感心しながらストレッチをしている
課長を見ていると1人のイケメンの青年が
こちらに近づいてきた。
課長と同じ競技用の義足をつけていて
ジャージ姿だった。多分、選手だろう。

「あの……日向選手ですよね?
元・パラリンピックの金メダリストの」

課長を見るなり話しかけてきた。
誰かしら?課長のファンかしら?

「あぁ……そうだが?」

「あ、やっぱり。俺……日向選手のファンなんです!!
パラリンピックの映像を見て凄くカッコいいなぁ~と
思って。俺も陸上を始めたんです。
良かったら握手してください」

青年は、目をキラキラさせながら言ってきた。
大学生ぐらいかしら?
あんな若い子にファンだと言ってくれるなんて凄い。
さすが課長だわ。感心していると課長は、立ち上がり
その青年に握手をしてあげた。

「そうか。ありがとう。
君も選手だろ?名前と種目は?」

「お、俺は、永井優樹(ながいゆうき)
日向選手と同じ100メートルです。
憧れの日向選手と競いあえるなんて夢のようです。
負けませんから」

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