再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「はい、これ京都土産」
上村さんがお土産の入った袋を私に差し出してきた。
「いいんですか?ありがとうございます」
「上村さん、京都のどこに行かれたんですか?」
「今回は神社やお寺巡りでいろいろ行ったよ」
パートの梶川さんも加わり、話しに花を咲かせる。
この時間帯はお客さんもまばらで、こういった話もゆっくり出来る。
パートの人は年齢も近いこともあり、話が盛り上がりすぎることもある。
他のお客さんの迷惑にならない程度にはしているみたいだけど。
「上村さん、今日はイワシの蒲焼きがおすすめですよ」
「じゃあ、それをいただこうかな。あと、そこの玉子焼きのなんちゃらと春雨サラダも」
「アラカルトのことですか」
「そうそう。カタカナが苦手でね。種類がたくさんあるから迷うけど、だし巻とほうれん草にしようかな」
そう言いながらトングを使っておかずを惣菜ケースに入れてレジに持ってきた。
惣菜ケースの重さを量り、会計をして上村さんはお店を後にした。
「上村さん、いつも元気がいいねぇ」
「ホントですね。京都旅行にも行かれてたみたいですもんね」
「それはそうと、お土産って何だろうね」
梶川さんが興味津々にテーブルの上に置いていたお土産の入っている袋の中を覗き込む。
「はいはい、そこまで。これからお客さんも増えてくるんだから、お土産は仕事が終わってからね」
おばさんがパン、と手を叩き緩んでいた空気を引き締めた。