再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「こちらのテーブルの上に置いておいてください」
「分かりました」
対応してくれた女性は経理の人から預かった封筒を取ってくると言って会議室を出た。
私は保温ボックスからお弁当を取り出して机の上に置いていく。
今日、注文があったのは幕の内弁当が八つだ。
「会議室の準備は出来てる?」
不意に男性の声が聞こえ、会議室のドアが開き一人の男性が入ってきた。
「えっ……」
「あっ、すみません。うちの従業員かと思いまして。弁当屋さんでしたか……って」
私の後ろ姿を見て会社の人と間違えたことに気付いた男性は申し訳なさそうに謝罪した。
だけど、振り返った私の顔を見た瞬間、その男性は目を見開いた。
私の顔に何かついているのだろうか?
初対面の人にそこまで驚かれる理由が分からない。
疑問はあったけど気のせいだろうと思い、手を動かしていると、さっき対応してくれた女性が戻ってきた。
「すみません、おいくらでしたっけ?」
「幕の内弁当、八つで五千二百円です」
「あ、ピッタリだ」
そう言って封筒からお金を取り出す。
私は金額を確認すると、領収書とメニュー表を渡した。
「これは来月からのメニュー表です。各種行楽弁当やオードブルなども取り扱っているのでよかったら利用してみて下さい」
空になった保温ボックスを持つと、私と女性社員の人のやり取りを見ていた男性に軽く会釈して会議室を出た。