再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
ふと、数日前にさつきと会った時に言われたことを思い出した。
偶然を装ってバッタリ……まさかね。
今日も店にお弁当を買いに来ていただけだよね。
グルグルといろんなことを考えていたら、斉藤さんが質問してきた。
「弁当一個って配達してもらえるのかな?」
「いえ、うちはお弁当は五個以上からの配達になります。従業員も限られているので申し訳ないのですが一個だけの配達は出来ないんです」
「そっか。じゃあ、今まで通り店まで買いに来ないといけないね」
そう言って笑う斉藤さんの笑顔になぜか恐怖を覚えた。
どうしてそう思ったのか言葉では説明できないけど、本能的に怖くなった。
さつきから言われた言葉が念頭にあるからかも知れない。
「ねぇ、今日は言ってくれないの?」
「何をですか?」
不意に言われたことが理解出来なくてたずねる。
「仕事頑張ってって、この前は言ってくれたよね」
そうだったかな。
お客さんに何を言ったかなんていちいち覚えてないんだけど。
斉藤さんはじっと私を見つめていて、その目が逸らされることはない。
これは言わないとダメな気がして私は口を開いた。
「お仕事、頑張ってくださいね」
「ありがとう。ナツキさんのその一言で僕は頑張れるよ。じゃあ、また明日」
斉藤さんは満足そうな笑みを浮かべてその場を離れた。
明日も来るという宣言をされ、私は変な胸騒ぎを感じていた。